校長より生徒の皆さんへ【第4回】

おはようございます。
校長から生徒の皆さんへ、第4回目の言葉です。

 

7月25日(月)

生徒の皆さんへ

 

「ニューノーマル時代に生きる」

 新型コロナ感染症のパンデミックをきっかけに世界は大きく変容した。そして、コロナ禍からポストコロナ時代に向けて社会全体が移行しつつある。私たちは「ニューノーマル(新しい常識)の時代」に生きるということについて、しっかりと考える必要があるだろう。

ニューノーマルとは、社会に大きな変化が起こり、変化が起こる以前とは同じ姿に戻ることができず、新たな常識が定着することを指す。

実は「ニューノーマル」という言葉は今出現した言葉ではない。2000年代初頭にネット社会が到来したことにより、これまでのビジネスモデルや経済論理が通用しなくなった後にも、またリーマンショックの金融危機の後にも、資本主義社会から持続可能な社会への変革が起こった時にも、このことが論じられているのである。
今回の新型コロナ感染症拡大後のニューノーマルは、感染リスク低減のため人と人との接触を減らす、人と人との距離をとるなどの感染予防を前提とした社会活動・経済活動・新しい生活様式への移行となる。0
ここで、日本で馴染みの深い有名な句、『平家物語(琵琶法師語り手)』の語り出しの句を紹介したい。「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」。

この意味は、平家の時代が終了して世の中が変わったことから、この世は常に変わりゆく「諸行無常」と、どんな人も必ず衰えるという「盛者必衰」を表現しているが、実はこれだけを意味しているものではない。「この世の全てのものは絶え間なく変化し続けている」ということも伝えているのである。

つまり、人生や命、繁栄が「無常」とあれば、この世において生命が誕生すること、発展・成長すること、人々が幸せになることなども、これまた「無常」であるということを言っているのである。
だが、ニューノーマル時代への移行というのは、過去にも繰り返されたごく自然な仕組みであり、それはいわゆる「無常」の世ではなく、人が幸せになるための変化であることをこの句から教えられる。
その前提において、今回のニューノーマルへの移行については、対人関係への影響が強いため、コミュニケーション不足による対人トラブルや、孤独化による心的ストレスがこれまで以上に引き起こされてしまうことが危惧されるのだ。

そこで、環境の変化、その影響を受けた我々の人間関係性の変化を、心の中にそれぞれがうまく取り込むことが重要になると考えられるのだ。

物事に対する受け入れ方や考え方、捉え方によっては、想像していたものとは全く違う景色が現れることを知るべきであり、そうすることで解決する問題も多くあると考えることもできる。一定ではなく、状況は必ず変化する。この平家物語の句から、無常の世に生きる知恵を授かることができるのだ。

ちょっと難しかったかな。でも、考えてみよう。

校長 中村三喜

 

 

一覧に戻る