校長より生徒の皆さんへ【第6回】
おはようございます。
校長から生徒の皆さんへ、第6回目の言葉です。
2023.3.17(金)
生徒の皆さんへ
12年前に起きた東日本大震災(2011年3月11日、14時46分に発生)の経験や、今も収束しきれていないコロナ感染問題の中で、以下を考えてみよう
「分断」
「宇宙から見た地球は一つの生命のようだった」。ある女性宇宙飛行士の言葉だ。地球上の何千万種もの生命は、生態系の一部としてつながり合っている。人間と自然環境は本来、不可分なものなのだ。
しかし現代文明は、自然や他の生き物たちを自分たちから切り離し、便利で快適な暮らしのために利用し続けてきた。そして今、一つの生命体としてのつながりを分断されたことに悲鳴をあげるかのように、地球環境に異変が起きている。地球温暖化はその最たるものだ。
もう一つ、現代文明が分断してきたものがある。人と人のつながりだ。産業化と資本主義の波は、若者を田舎から都会へと呼び寄せた。彼らは人間関係の濃密な故郷や家を捨て、都会の自由で気ままな暮らしを享受した。
競争社会は家庭を顧みずに働く企業戦士を、成熟社会は子供を産み育てることより自分たちの楽しみを優先させる男女を生んだ。家庭、地域は崩壊し始め、無縁社会という言葉も登場した。
しかし、失いかけて初めて、人々は大切なことに気がついた。人は人とのつながりのなかに生きており、そこで他者に役立つことのなかに自己の存在意義、生きる喜びがあるということに。
校長 中村三喜