9.20(金)先手観音

2024年9月20日(金)
生徒の皆さんへ
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「先手観音様」

 千手観音には、千本の手があり、それぞれの手に千の眼がついている。一見すると奇妙な姿ですが、何を表しているのでしょうか。
 詩人の坂村真民は、目の見えない子が描いたお母さんの絵に、いくつかの手が描かれてあるのを見て驚き、先手観音の実在を知ったと言います。
 その子にとって母は手であったのでしょう。いつもご飯を食べさせてくれる手、着替えをさせてくれる手、どこへ行くにも引いてくれる手。私たちも、思えばいくつの手をかけてもらって、今日まで生きてきたのではなかったか。
 千の手には千の眼があるというのは、いつも見守られていることを意味していると言う。親は子のことをいつも見守っていてくれる。見守ってくれていることを感じると、生きる力を得ることができるのだとも言っている。
 千の手をかけてもらったことに気がついたならば、今度は自らが千の手になって人のために尽くしてゆこうと思うようになるのではないだろうか。
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注記:密教の胎蔵界曼荼羅で観音が配置される場所を「蓮華部」というが、千手観音はその中でも「蓮華王菩薩」と称される最高位の存在になっている。京都市にある妙法院三十三間堂が、正式には蓮華王院というのはこれに由来している。
 

校長 中村三喜

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