校長より生徒の皆さんへ【第12回】
校長より生徒の皆さんに第12回目の言葉です。
2024年4月1日(月)
生徒の皆さんへ
「言葉」
大切な人を突然亡くし、悲嘆に暮れている相手には、どんな慰めの言葉も耳元を通り過ぎてゆくだけである。
そのような言葉は一面頼りないものだけれども、人の人生を左右する力をもっていることも事実であろう。“あの人の一言を支えに、今日まで生きてくることができた”、“この言葉に出会わなかったら、今の自分はない”。それほどの影響力があるのも、また言葉だといえよう。
「物言えば唇寒し秋の風(松尾芭蕉)」のように、口は災いのもとだからと口をつぐみ、互いに思ったことを言えないのは、人間として生まれ、ともに生きているものとしてあまりに侘しい。
たとえ、自分の気持ちなど分かるわけがない、同情はいらないと強がっていても、誰もが心の底では、自分のことを理解してほしいと思っているのである。
真実の言葉は必ず相手の心に届く。人の気持ちに寄り添い、真心からの言葉をかけ合いたい。相手を慮(おもんばか)りながら、自分の思いや考えを素直に伝えあいたい。
そこからお互いの理解と、温かく豊かな関係がきっと築かれてくる。
校長 中村三喜