校長より生徒の皆さんへ【第15回】
校長より生徒の皆さんに第15回目の言葉です。
2024年4月4日(木)
生徒の皆さんへ
「自然の理」
梅が咲いて鶯(うぐいす)が鳴き、桜がほころんで雲雀(ひばり)がさえずる。春から初夏へ、野山には草木が萌え、花々が咲き競い、小鳥たちが舞い歌う。小さい花も大きい花も、木々も小鳥たちも、それぞれに華麗で絢爛(けんらん)、精一杯の生命の躍動である。
しかし、この豊かな自然の装いも、形はさまざま、色とりどりの花や鳥があればこそであろう。「梅に鶯」の情景には、もとより格別の風情があるけれど、もしこの世に花は梅、鳥は鶯だけだったとしたら、とてもこの華麗さ、豊かさは生まれまい。さまざまでとりどり、百花繚乱の彩りこそが、やはり自然の理なのである。
お互い人間も、同じ自然の理の下に生かされている。さまざまに違う人が、とりどりの個性を持っていて、その違いがそれぞれに処を得て存分に生かされるとき、華麗で絢爛、豊かな文化の花が開くのだ。
違いを嘆かず羨まず、それぞれに力を尽くし、共々に助け合って、彩り豊かな人間社会を築く努力を重ねたい。
校長 中村三喜