校長より生徒の皆さんへ【第21回】

校長より生徒の皆さんに第21回目の言葉です。

 

2024年4月12日(金)

生徒の皆さんへ

 

「場」

 先ほどまで竹刀の音が響いていた道場で、剣士たちが正座し黙想、そして静かに道場に一礼する。ユニフォームを泥だらけにした野球少年らが一列になり、大声と共にグランドに向かってお辞儀をして練習を終える。

多くのスポーツ選手が示す、場に対するゆかしい振る舞いは、観ている者にも一服の清涼剤である。その清々しさがどこから来るのかといえば、自分たちが鍛えられるところ、成果を出すところの場の意義をよく理解し、感謝と敬意を忘れないからではあるまいか。

これは日本人の礼の躾の一端によるものであり、海外のスタジアムで、日本人観光客が観戦後に座席を掃除して称賛されるのも、同じ意識の発露なのであろう。

人間同士の礼にとどまらず、こうした、いわば場への礼の精神が浸透すれば、社会はより豊かになるに違いない。

コロナ感染の5類移行後も、それ以前と変わらずに多くの外国人が来日し、海外との交流はますます深まろうとしている。グローバルな時代に、日本人の一人として場に対する美意識を世界にも広めたい。そして自分にとっての場をどのように大切にするか、時に思いを巡らせたい。

校長 中村三喜

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