校長より生徒の皆さんへ【第26回】

校長より生徒の皆さんに第26回目の言葉です。

 

2024年4月19日(金)

生徒の皆さんへ

 

「睨んでいるだけでは」

 禅の開祖・達磨大師は修行のために壁に向かって坐禅を組んだ。以来、雨風に曝(さら)されようが、膝に蜘蛛(くも)が登ってこようが、わき目もふらず面壁(めんぺき)9年。悟りを得た達磨大師は、足を解いて立ち上がった際、こう言ったという。

「なるほど、ただ睨んでいるだけでは、壁に穴を穿(うが)つことはできぬ」

さて、当たり前の事実を言うこの言葉。これをたわいもないことと笑っていいのだろうか。仕事や学習において、日常、成すべきことに囲まれているのが私達である。けれども、そのすべてを遂行できているかと言えば、甚だ心もとない。

理念に基づく尊い仕事ですら、気を許せば、理想を追求するより、できる現実に照準を合わせている。実力向上を望んで準備する試験も、結果が伴わなければいつも別の理由を探している。

それはやれなかったのではなく、結局、睨むばかりでやらなかったことと同じではないだろうか。

穴を穿つには、断固たる覚悟が求められよう。睨んでいるだけでは何も成しえないのである。

校長 中村三喜

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