7.15(月)こわい人

2024年7月15日(月)
生徒の皆さんへ
 
 

「こわい人」

 大人の世界では、人の上に立って立派な仕事をしていた人が、いつしか権力を振りかざすようになったり、堕落したりして人を失望させることがしばしば起こる。
 要因は様々で容易に窺い知れないけれど、一つ指摘されるのは、当人のそばからこわい人がいなくなったからだという。
 どんな人でも最初から優れているわけではない。芸事、スポーツ、学業や仕事にせよ、師と言えるこわい人がいて、その人による厳しい指導の結果、技芸が上達したり、社会人として成長したりできる。
 指導を受けている期間こそ、逃げ出したいとか、早くいなくなってほしいと思うことがあっても、後になればなるほど、そんなこわい人の有難さに気づくのである。
 ただ、どれほど精進していても、こわい人がいなければ、自制心が効かなくなり、省みる心を見失いがちになってしまう。それは人の業の深さというものなのだろうか。
 そうならないために、自分を律する努力は怠るまい。そして、心の中にあのこわい人の存在を忘れないようにしたいものである。

校長 中村三喜

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