7.23(火)偉い人と立派な人

2024年7月23日(火)
生徒の皆さんへ      
 

「偉い人と立派な人」

 私のお袋は生前口癖のように「世間には偉い人は大勢いるけれど、立派な人はめったにいない。おまえは偉い人にならなくてもいいから立派な人になっておくれ」と言っていた。
私はそれを聞いてなるほどと思ったのと同時に、「立派そうな人は大勢いるけれど、本当に立派な人はめったにいない」という言い回しが浮かんできて、その言葉に自分で何度も頷いたものだった。
 戦後の民主主義は、すべての人に平等に出世できる機会を与える機会均等主義という考え方を通して平等を現実のものとした。
しかし、その一方で、教育過熱という塾漬けの歪みを子供に押しつけ、ただテストに強いだけの人間が世の中で押し合いへし合いしているだけの社会、すなわち人間味に欠ける、どこかおかしい社会も現出してしまった。
このような世の中で本当に立派な人を輩出することができるのだろうか。それだけに今、母親の言葉が胸に沁みるのだ。

校長 中村三喜

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