7.30(火)鏡の間

2024年7月30日(火)
生徒の皆さんへ
 

「鏡の間」

 ハリー・ポッターの物語が、世界的なべストセラーになった。そこに「鏡の間」の話がある。
 生まれて間もなく両親を失ったハリーは、魔法の学校の寄宿舎に入って自分の生い立ちを知った。そしてある日、この鏡の間に入ると、不思議なことに、大きな鏡に両親に肩を抱かれて立つ自分の姿を見えた。
 ハリーは生まれて初めてのことで嬉しくてたまらず、それまでずっと感じてきた寂しさも癒されたという。この鏡は不思議なもので、人々の願望を叶えて見せる。成績優秀になりたい者はそのように、権力を得たい者はそうなっている姿を写し出すのです。
 ハリーは鏡の虜になり、毎日毎日、この部屋でじっと過ごすようになったのです。両親と一緒にいる自分の姿を見て、時間を過ごしたのです。
 何日か経って、ハリーの傍らに校長先生が立って言ったのです。「この部屋は、もう閉じることにする」。驚くハリーに校長先生は言いました。「この部屋に居続けて、生命を落としてしまった学生が何人もいるのだ」と。
 これは、願望を鏡で見るのと自分で体験するのでは全く違うと言っているのです。夢を見ることに浸って、いつの間にか何もできない、生きる力を失ってしまうことを表しているのです。
 夏休みの期間を利用して皆さんも読んでみてはどうでしょうか。

参考文献:J・K・ローリング(イギリスの児童文学者)著『ハリー・ポッター』シリーズ全7巻(1999年12月~2008年7月)の日本語訳版。

校長 中村三喜

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