8.14(水)原風景

2024年8月14日(水)
生徒の皆さんへ
 

「原風景」

 私は1944年の生まれですので、今月19日を迎えると満80歳になります。そして、それはお盆の時季でもあるので、久しぶりに昔よく通った道や遊んだ場所を歩いてみると、幼い頃の記憶がよみがえり、懐かしさや、すっかり変わってしまった風景への哀惜、もう二度とあの頃には戻れないのだという寂しさなど、さまざまな思いがこみ上げてくる。
 同時に、家族や友だち、その時身近にいてくれた人たちの姿や言葉が思い出されて、それらが自分の物の見方や考え方の原点になり、今日まで折々に支えとなってきたことに改めて気づかされる。
 変わりゆく時代の中で、人は時に過去をたどり、いつまでも変わらない自らの原風景に立つ。そうすることで自分を確かめ、明日に希望をつないで、新たな人生を紡いでゆけるのだろう。
 そして、自分の生きた証もまた決して消えることなく、必ず誰かの心の風景に刻まれてゆくはずである。できることなら、その人が苦しいとき、迷ったときに立ち返る拠り所となって、勇気を与えられるような、そんな生き方をしてゆきたい。
 周囲の大切な人たちの心に、自分はどんな風景を残すことができるのだろうか。

校長 中村三喜

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