8.15(木)思い出

2024年8月15日(木)
生徒の皆さんへ
 

「思い出」

 再び、お盆の時季に関係しての私の話しで恐縮です。
 誰にでも思い出の「味」がある。特に幼いころに、母が、祖母がつくってくれた、忘れがたい手料理やおはぎの味。大好きだったその味がもう味わえないとなったとき、人は懐かしさとともに、心にぽっかりと穴が開いたような淋しさを感じる。
 味だけではない。顧みれば、楽しかったこと、嬉しかったこと、大切な人とのさまざまな思い出がある。そして、それらが多ければ多いほど、二度とその日が返ってこないことに寂しさを覚えるのである。
 そんなとき、むしろ思い出など初めからないほうがよかった。そうすれば、こんなに寂しさを感じなくてすんだのに、という思いにさいなまされるかもしれない。
 確かに失ったときの喪失感は大きい。だがそれでも、心に残る思い出があればあるだけ、人生は豊かになるのではないか。それらは自分を愛してくれる人がいたという証しであり、これからを生きる温かい励ましにもなり、力ともなろう。
 懐かしい思い出を大事に抱きつつ、今年もまた周囲のかけがいのない人たちとの新たな思い出を一つでも多くつくっていきたい。

校長 中村三喜

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