12.23(月)リスク

12月23日(月)
生徒の皆さんへ
 

「リスク」

 仕事をするうえで、よく聞く言葉に「リスク」がある。何をするにもリスクが想定され、一様に「避けよう。なくそう」と思うものだ。ところがその思いが強すぎると、変化こそリスクと信じ込み、次代の変化に対応できない例も多いのではないか。
 そもそもリスクは本当に避けることが最善なのだろうか。リスクにも種類があり、確かに絶対に避けるべきものもある。しかし、未来のためには、チャレンジしなければならないリスク、目指す目的のためには、覚悟を定めて受けて立つべきリスクもあるのではないだろうか。
 世の中は生成発展するもの、おのずと新しい常識ややり方が生まれてくる。それを素直に捉えて、自ら変化を求めることが必要であろう。それすら恐れていては真の発展は望めまい。リスクは忌み嫌うだけが処し方ではないはずである。
 リスクはいつだってそばにある。リスクを避けんがための慎重さが逆に問題解決を逡巡させ、変えるべきことを変えられない事態が実はより深刻なリスクを生んでいくのだ。その難しさを肝に銘じて人生を歩みたい。
 カスミの常務時代、倒産した牛丼の「吉野家」の再建を管財人の弁護士さんから打診されたことがあった。会社の常務会で議論したが結局、リスクを次から次に挙げて、断念するという結論に至った。6人のメンバー中5人が反対。1人(私)だけ賛成だった。近年の吉野家の姿を見ると、あの時が思い出されてならない。成長にはリスクを取ってチャレンジすることが必要なのだ。

校長 中村三喜

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